終身保険や養老保険の保険料の払い込みをストップし、解約返戻金相当の一時払いの定期保険に変更する方法で、死亡保障額は変更前と同等額を保つことができます。
もし、解約返戻金額が多い場合には、延長保険への変更後の保険期間は元の保険の保険期間が限度となり、余った解約返戻金は満期時に生存保険金として受け取ることができます。
でも、短縮されるっていうのはどういうこと?
では、もう少し延長保険について説明しますね。
延長保険なのに保険期間が短縮される
延長保険への変更後の保険期間は、解約返戻金額により決まりますので元々加入していた保険よりも保険期間が短くなることがあります。
例えば、30歳で60歳払込満了で保障額500万円の終身保険に加入していたとした場合、次のような返戻率だったとします。
【終身加入条件】 被保険者:30歳、男性 死亡保障:500万円 保険料払込:60歳払込 保険料:13,200/月 |
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年齢(歳) | 累積保険料(円) | 返戻率(%) | 返戻金(円) |
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30 | 0 | 0 | 0 |
35 | 792,000 | 35 | 277,200 |
40 | 1,584,000 | 47 | 744,480 |
45 | 2,376,000 | 59 | 1,401,840 |
50 | 3,168,000 | 71 | 2,249,280 |
55 | 3,960,000 | 83 | 3,286,800 |
60 | 4,752,000 | 95 | 4,514,400 |
解約返戻金額からすると加入している保険が終身保険の500万円であれば、40歳以降に延長保険に変更することで、80歳以上までの死亡保障と高度障害保障を得ることができそうですが、それよりも前に変更するとまだまだ働き盛りの年齢で満期を迎えそうです。
もし、終身保険ではなく定期付終身保険で2,500万円(定期特約:2,000万円、終身:500万円)を延長保険にという場合には事情が変わってきます。
同じく40歳で延長保険へ変更を考えると解約返戻金の額はかわりませんので、2,500万円の死亡保障を得られるのは50歳程度までとなります。仮に50歳や55歳での変更であれば、65歳くらいまでは2,500万円の定期保険として保険期間を延長できそうですが、平均寿命で考えると元々の終身保険に比べて15年ほどは無保険となってしまいます。
でも、高い保険金を維持したいときには考える余地がありそうです。
延長保険の注意点
保険料の支払いが生活を圧迫して大変だけれども、保険金額は確保したいと考えたときに延長保険は一つの案として考えることができる保険ですが、大事な注意点としていずれの場合においても満期を迎えたのちの保障や満期保険金は0円となってしまいますので、長く保障を維持したい場合には、保険金額は少なくなりますが払済保険という手段もありますのでそちらの検討も含めてみてください。
その他、延長保険への変更というのは解約返戻金を用いて新たな定期保険に入りなおすことと同じですので告知診断を改めて行う必要があり、それまで付帯されていた特約も消滅することになります。
延長保険早わかり
- 延長保険は終身保険や養老保険の解約返戻金を用いて一時払い定期保険に入りなおすこと
- 延長保険では、死亡保障額を変更前の保険と同等額にできる
⇒一時払保険料(解約返戻金)が足らない場合は保険期間が短縮される - 延長保険の保険期間は変更前の保険期間以下となる
⇒一時払いに充てることができる解約返戻金額が保険期間に対して余る場合には満期時に生存給付金として変換される - 延長保険に変更すると定期保険となるため基本的に満期保険金はなく満期後の保障もなくなる
- 延長保険に変更することでそれまで付帯されていた特約は消滅する
保険料の負担がきつくなったときでも解約するのではなく、少しでも保障を受けられる期間を継続するための手段として考える余地のある保険でしたが、必ずしも延長保険があなたに合った処置とは限りませんので、無理なく保障を継続できる手段をいくつか用意し比較することをおすすめします。