解約返戻金(かいやくへんれいきん)とは、保険を解約したときに戻ってくるお金のことをいいます。
解約返戻金は、保険料として支払った額が必ず全額戻ってくるわけではありません。解約返戻金の仕組みについてみてみましょう。
保険の継続年数によって変化する解約返戻金
解約返戻金は、保障や満期保険金を支払うために保険会社内で積み立てている「責任準備金」と保険会社でかかる経費である「解約控除」との差額で表すことができます。
簡単に解約返戻金を計算する式を表すならば、次のようになります。
解約返戻金 = 責任準備金 - 解約控除
保険は「相互扶助(お互いに助け合う)」の精神に基づいています。つまり、お互いが支払った保険料から保障や満期保険金が支払われることになります。そのため、保障や満期保険金に備えて積み立てられている責任準備金の割り当ては、被保険者が高齢になればなるほど、満期に近づけば近づくほど大きくなることになりますので、解約返戻金も同じように被保険者が高齢になればなるほど、満期に近づけば近づくほど大きくなります。
解約返戻金は従来型・低解約返戻型・無解約返戻型の3タイプ
解約返戻金には、従来型・低解約返戻型・無解約返戻型の3タイプがあり、それぞれで保険料や返戻率(=解約返戻金÷累積保険料)に違いがあります。
- 保険料:従来型 > 低解約返戻型 > 無解約返戻型
- 返戻率:低解約返戻型 > 従来型 > 無解約返戻型(満期時)
従来型
従来型の解約返戻金は、ほかのタイプの基本ともいえるタイプで素直に責任準備金の在り方を表しており、満期に近づけば近づくほど、年齢を重ねれば重ねるほど、解約返戻金の返戻率が高くなっていきます。
終身保険と養老保険の例
※図は一例であり、加入する保険商品によって異なる場合があります。
※図は一例であり、加入する保険商品によって異なる場合があります。
低解約返戻型
終身保険の例
低解約返戻型は、満期になるまでの解約返戻金を70%程度に抑えるわかりに保険料を安くした保険商品ですが、満期を迎えると従来型の解約返戻金の返戻率よりも高くなる場合が多くみられるタイプです。
※図は一例であり、加入する保険商品によって異なる場合があります。
定期保険の例
低解約返戻型の定期保険は、満期保険金がないため満期の前に解約返戻金はピークを迎え、満期には解約返戻金がゼロになります。
※図は一例であり、加入する保険商品によって異なる場合があります。
無解約返戻型
定期保険の例
無解約返戻型は、定期保険の典型とも言えるタイプです。
下図では解約返戻金がありますが、現在の定期保険は保険料を少しでも抑えるため、解約返戻金がまったくないタイプが主流となっているため、通常は解約返戻金がないものとして見ていただいたほうが良いかもしれません。
※図は一例であり、加入する保険商品によって異なる場合があります。
解約返戻金には税金がかかる
支払った累積保険料よりも受け取った解約返戻金の方が控除額を超えて多いと課税の対象となります。
また、保険料負担者と返戻金受取人の関係でも税金のかかり方が異なるため注意が必要です。
- 保険料負担者 = 返戻金受取人 ⇒ 所得税
- 保険料負担者 ≠ 返戻金受取人 ⇒ 贈与税
所得税と贈与税では、贈与税の税率の方が圧倒的に高いため、解約返戻金を受け取る場合には気を付けましょう。
解約返戻金早わかり
- 解約返戻金は契約してから期間が長くなる(年齢を重ねる)ほど高くなる(定期保険を除く)
- 解約返戻金は満期が近づくほど高くなる
- 終身保険の解約返戻金は(払込)満期を過ぎても上昇する
- 定期保険には満期保険金がないため、解約返戻金のピークは満期日より前にくる
- 定期保険は保険料を少しでも下げるために解約返戻金がないことが多い
- 解約返戻金にも税金がかかる
- 保険料負担者と返戻金受取人の関係によって所得税か贈与税にわかれる
解約返戻金額については、約款や保険の見積もりにも記載されていることがありますので、解約のタイミングを考えている場合や新たに保険に加入することを考えている場合は、一度ご確認してみてください。