移行とは、保険料の払込満了といった決められた時期に保障内容を変更することができる制度のことをいいます。
年齢や子どもの独立などにより、当初予定していた保障と違った保障を得たいときに移行制度を使うことで、その時の希望に応じた変更を行うことができます。
移行は責任準備金が元になる
移行は生命保険会社が定める範囲内でのみ行うことができ、保険会社によって変わりますので直接問い合わせてみることが大事ですが、基本となる考えは加入している保険の責任準備金を使用して異なる保障内容に変更します。
こういった基本原理があるため、移行できる保険はほとんどの場合、払込満了時に責任準備金が累積保険料と同等以上に大きくなる終身保険や個人年金保険に限られます。
移行できる保険のほとんどは終身保険や個人年金保険
移行を行う場合には、責任準備金がある状態でないと満足のいく移行を行うことはできません。そのため、終身年金や個人年金保険のように責任準備金が大きくなる保険に限られることがほとんどです。また、保険料の払込満了後であることで責任準備金が確保されますので、保険会社の定める範囲として保険料の払込満了後の条件が付きます。
終身保険の場合
終身保険では、保険料の払込満了後そのまま死亡保障を継続するか、老後の年金や介護保障などに移行することができます。保険料の払込満了後であれば、いつでも移行を申し込むことができ、死亡保障や年金保険、介護保障に分けることができる場合もあります。
個人年金保険の場合
個人年金保険の場合、年金の受取開始前であれば年金の種類を別の年金種類に変更することができ、終身保険から移行と同様にいくつかの年金種類に分けることもできます。ただし、年金の受取開始前に申し込む必要がありますので、移行をお考えの場合は一度加入している保険会社へ問い合わせてみることをおすすめします。
移行早わかり
- 移行は保険の更新とは異なり、その時に必要な保険に変更すること
- 移行後の保障は責任準備金額による
- 移行は保険料払込満了時に有効となる
- 移行は転換制度と異なり、新しい保険に加入しなおすことではない
- 移行は単一の保険だけでなく複数に分けることができる
終身保険に加入していたものの死亡保障だけではなく、老後の生活資金にすこしでも当てたいという場合に保険を解約して解約返戻金を受け取るのではなく、死亡保障の額を少し減らしながらも「死亡保障」と「老後の年金」の両方をまかないたいという場合に選択できる一つの案になると言えます。
中には定期保険を移行できる保険会社もあり、定期保険の場合は、責任準備金がピークになる時期に合わせて移行できるようになるようです。ただし、定期保険の責任準備金はあまり高くないため、移行できる保険の保障内容は高度なものにはなり得ません。