死亡保険金の受け取り条件は、「死亡した場合または所定の高度障害状態に該当したとき」となっていることがあります。
高度障害状態と聞くと障害状態であることはわかりますが、「高度」がどの程度のものを指しているのかわかりづらく、保険金を請求したものの高度障害状態と認められずトラブルになることや高度障害状態に該当しているにもかかわらず、該当条件がわからず保険金請求を忘れてしまったなんてことがないように高度障害状態について知っておく必要があります。
高度障害状態は障害程度等級とは異なる
高度障害状態とは、身体障碍者福祉法(厚生労働省 身体障害者手帳の概要より)で定められた障害状態等とは異なります。内容を比べると似ているようですが、高度障害状態はさらに厳しい条件となるため、保険会社の約款で確認したり、加入前に詳しく聞くなどすることをおすすめします。
高度障害状態の条件は厳しい
高度障害保険金を受け取るには、下記のいずれかに該当する必要があります。詳しくはご加入もしくは、ご加入予定の保険会社の約款を確認したり、直接問い合わせることをおすすめします。
両眼の視力をまったく永久に失ったもの
事故や病気によって矯正視力が0.02以下になり、かつ回復がの見込みがない場合を指します。
視野狭窄(しやきょうさく…視野の欠損)や眼瞼下垂(がんけいかすい…上まぶたの機能障害によって眼が開かない)のような視力障害は対象とならないため注意が必要です。
言語またはそしゃくの機能をまったく永久に失ったもの
「言語の機能をまったく永久に失う」とは、
- 語音構成機能障害…口唇音、歯舌音、口蓋音、喉頭音の4種類のうち3種類以上の発音が不能となり回復の見込みがない場合
- 中枢性失語症…言語中枢の損傷で言葉による意思疎通ができない状態となり回復の見込みがない場合
- 声帯の摘出により発音が不可能となった場合
「そしゃくの機能をまったく永久に失う」とは、口で食べ物を噛んで飲み込むことができず、流動食以外のものを摂取できない状態となり回復の見込みがない場合を指します。
中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
終身常に介護を要する状態であることが条件となります。
具体的には以下の動作を介護者なしでは行えないことを指します。
- 食物の摂取
- 洋式便器での排便・排尿・その後の始末
- 衣服の着脱
- 起居(立ったり、座ったりすること)
- 歩行
- 入浴
この内ひとつでも自身でできる場合は、終身常に介護を要する状態ではないと判断されます。
両上肢とも手関節以上で失ったか、またはその用をまったく永久に失ったもの
両腕の手首関節以上を失った(切断された)状態か、3大関節(肩、ひじ、手首)が完全運動麻痺や完全硬直により完全に運動機能を失い回復の見込みがない場合を指します。
両下肢とも足関節以上で失ったか、またはその用をまったく永久に失ったもの
両脚の足首関節以上を失った(切断された)状態か、3大関節(また、ひざ、足首)が完全運動麻痺や完全硬直により完全に運動機能を失い回復の見込みがない場合を指します。
1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったか、またはその用をまったく永久に失ったもの
下記のいずれかに当てはまる場合に高度障害状態に該当します。
- 片腕の手首関節以上を失い(切断され)、片脚の足首関節以上も失った(切断された)場合
- 片腕の手首関節以上を失い(切断され)、片脚の3大関節(また、ひざ、足首)が完全運動麻痺や完全硬直により完全に運動機能を失い回復の見込みがない場合
1上肢の用をまったく永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの
片腕の3大関節(肩、ひじ、手首)が完全運動麻痺や完全硬直により完全に運動機能を失い回復の見込みがなく、片脚の足首関節以上も失った(切断された)場合
高度障害状態に該当する条件がとても厳しいと感じられたと思います。高度障害保険金は、死亡保険でも適用されることから死亡に近い状態であることが前提としてあるために、このような条件になってしまいます。
高度障害状態よりも条件が緩い特約もある
実際には障害状態となった場合の方が、死亡した場合と比べ被保険者本人や家族への負担は大きいものになると考えれます。しかし、前述のように高度障害状態と認められるには条件が非常に厳しく高度障害保険金を受け取れないことが多いのも事実です。
現在では、高度障害状態の条件が厳しく高度障害保険金を受け取れないことからトラブルもあり、高度障害状態よりも条件が緩和された特約も販売されていますので、将来の事故や病気によって障害状態となる心配がある場合は、そちらを検討してみても良いかもしれません。
高度障害保険金/高度障害状態早わかり
- 高度障害状態に該当するのは保険会社で定められた条件のみ
- 高度障害状態の条件は厳しく、該当しないことも少なくない
- 高度障害状態よりも条件が厳しくない特約を販売している保険会社もある
高度障害保険金を受け取れる高度障害状態の基本的なことについて書いてきましたが、最終的に判断するのは保険会社になりますので、該当するかどうかをご自身で判断するのではなく、少しでも可能性があるのであれば、保険会社にお問い合わせされることをおすすめします。