保険屋さんに勧められて生命保険を申し込んでみたものの、
- よくよく確認してみると自分が考えていた内容と違っていた
- 保険は必要かもしれないけど保険料の負担が不安
- 家族ときちんと見直してみたらやっぱりこの保険は必要なかった
などなど、あとになって冷静に考えてみると生命保険に申し込んだのは間違いだったと思うことがありませんか。
保険に限らずどのような契約でも、契約に対する不安材料や疑問点を洗い出しクリーンにした状態で契約を結ぶべきです。
ですが、なんの準備もしていない消費者に対して、不意打ち的に訪問してきた保険外交員に保険の重要性や将来の不安を煽られたりすると、正しい判断ができない場合があります。
さらに言えば、「すぐに契約しないと保険料が上がってしまいすよ」というように契約を急かされると心理的に「今のうちに契約しておかないと後悔するかも」と、なにが不安でなにが疑問なのかすらわからないまま保険契約に至ってしまったということもあるかもしれせん。
これは、丸腰の消費者に対して、知識武装した外交員が突然攻めてくるようなものです。
本来であれば、一度取り決めた契約を一方的に撤回することはできません。
しかし、上記のように正しい判断ができない状態で契約に至ってしまったというような場合であれば、丸腰の消費者を守るための制度であるクーリング・オフ制度を利用して、保険の申し込みを撤回することができます。
ここでは、クーリング・オフを行う方法と注意点について説明したいと思います。
クーリング・オフを行う方法
クーリング・オフは、保険会社宛てへの書面によって申し込みます。
書面に記載する内容は、次の通りです。
- 契約撤回の意思
- 保険の種類や名称
(受付番号、証券番号、領収証番号などがわかれば併せて記載) - 保険の申し込み日
- 担当者の氏名
- 契約者の氏名(契約時の印鑑)
- 契約者の住所(連絡先)
保険商品の約款等にクーリング・オフの手続きについて記載がある場合はそちらに沿うように記載してください。
送付する際は、送付する書面のコピーを取った上で通常のはがきでも構いませんが、クーリング・オフのように繊細な事柄は、送付自体も内容証明郵便やその他特定記録郵便、簡易書留などにすることで書面を送付したという記録を残しておけるとベストです。
注意!次のような場合はクーリング・オフができません
クーリング・オフはいついかなる場合でも適用されるわけではなく、次のような場合にはクーリング・オフが適用されません。
クーリング・オフ期間を過ぎている
クーリング・オフができる期間は、契約を証する書面の受け取り後、8日以内となります。この期間をすぎると契約の意思に問題がないということになります。
保険の場合、「クーリング・オフに関する書面の交付日」または「保険の申し込みを行った日」の内の遅い日を含めた8日以内でなければなく、8日を超えた場合には、クーリング・オフを行うことはできません。
自ら契約の申し込みを行った場合
クーリング・オフ制度は、訪問販売やキャッチセールスのように商品の良し悪しを判断できる時間も与えられないまま契約をしてしまったというような消費者を保護するための制度であるため、自ら申し込みを行った場合には適用されません。
また、ネットや通信販売の保険も自ら申し込まないと契約に至らないものになりますので、同様となります。
医師の診査を受けている
医師の診査を終えている時点で契約の意思に問題がないということになり、クーリング・オフを行うことができません。
保険契約期間が1年以下の場合
保険契約期間が1年以下の契約についてはクーリング・オフできません。
保険料をすでに口座振り込みにより支払っている場合
保険料の支払いを自分の手で口座振り込みにより終えている時点で契約の意思に問題がないということになり、クーリング・オフを行うことができません。
ただし、保険契約の申込書にある口座振替によって保険料の払い込みがなされた場合は、クーリング・オフを行うことができ、払い済みの保険料は返還されます。
詳しくは、保険業法309条及び、保険業法施行令45条に記載がありますので、ご確認いただければと思います。
クーリング・オフ早わかり
- クーリング・オフ(契約撤回)の意思表示は書面で提出する
- 契約申し込みの意思が明確な場合はクーリング・オフを行うことはできない
⇒クーリング・オフ期間を過ぎている
⇒自ら契約の申し込みを行った場合
⇒医師の診査を受けている
⇒保険料をすでに口座振り込みにより支払っている場合
クーリング・オフは、突然の訪問や電話などでせかされながら契約をしてしまったというような場合に消費者であるあなたを守ってくれる制度です。
ですが、保険はあなたの将来の不安を緩和する大事な手段でもありますので、クーリング・オフを行う必要が無いようによく考え、確認し選ぶようにしましょう。また、契約を急かされるような場合は、思い切って断ることも必要かもしれませんね。