利率変動型積立終身保険は、積立利率変動型終身保険ととても名称の似た保険ですがまったくの別物です。別名の「アカウント型保険」と言った方がなじみがあるかもしれません。
積立終身保険は、積立期間(保険料払込期間)に保障は一切なく、積立期間終了後に積立金を終身保険に変更する保険です。この積立金が利率によって変動する保険を利率変動型積立終身保険と呼びます。
積立期間は特約保障でカバー
本来、利率変動型積立終身保険だけでは、積立(保険料払込)期間中の保障がありませんが、保険期間を第一保険期間、第二保険期間のように分け、第一保険期間中は主契約である終身保険の積立金および定期保険特約などの保険料を払い込み、第一保険期間の積立金をつかって第二保険期間である終身保険に移行するといった組み合わせの保険のことを、特約部分を省略して利率変動型積立終身保険と呼んでいます。
終身保険の保障額は払込期間が終了するまでわからない
積立終身保険での月々の積立金は保障金額によって異なります。裏を返せば、積み立てた金額に保障金額が変わるとも言えますが、利率変動型積立終身保険は、積立金が積立利率によって変動するため、終身保険に移行する保険料払込期間満了まで保障額が確定することはありません。また、積立金は特約部分の保障見直しにも左右されることがあります。
アカウント型保険と言われる由縁
アカウントとは、一般的に何かを「使用する権利」のことを指しますが、保険では、あなた専用の口座を準備し使用することができると捉えることができます。
アカウント型保険に加入すると保険会社にあなた専用の口座が準備され、そこにお金を預け入れる形になります。保険会社は、預けられたお金から特約部分の保険料徴収を払込期間満了まで繰り返し、余った分が最終的な積立金となります。
自分のアカウント(保険専用口座)に預けて積み立てたお金も保険料として使用することができるため、積立金額によっては、月々に預けいれるお金を調整することもできます。
終身保険はないも同然
アカウント型と呼ばれる理由は上記で述べた通りですが、実際に積立てられている金額は1,000円/月前後となっていることがほとんどです。1,000円/月の積み立てでは、30年間積み立てたとしても
1,000円 × 12ヶ月 × 30年 = 36万円
と終身保険というには、あまりにも微々たるものとなります。ましてや36万円で移行できる終身保険が準備されているのかもわからない。
また、特約部分の月々の保険料(預け入れる金額)を安くみせるために、更新のたびに積立金を積み立てては取り崩しといったことが繰り返される形となり、最終的に積立金そのものがほとんどないといったこともありえます。
保険の設計書等にも小さく積立額や取り崩し額といった記載がありますので、一度確認してみることをおすすめします。
利率変動型積立終身保険でメリット
- 保障のほとんどが特約であるため、保険料が安くなるかもしれない
特約は抱合せの保険であるため、主契約に比べ保険料が安くなる可能性があります。 - 払えるうちにできるだけ払って(積立てておいて)、後の払い込みを少なくできる
「これは、保険のためのお金」として保険会社がそのときに必要な保険料と将来に必要な積立金を管理してくれます。 - 積立てたお金は自由に引き出すことができる
もし万が一どうしても必要な出費がある場合は、積立金を引き出して使うことができます。
以上のように無理矢理メリットを出してみましたが、
- あくまで、同一の保険会社で保険を固めたい場合です。必ずしも同一の保険会社で揃える必要はありません。より安くより充実した保険を個別で探した方が得策ですし、特約はあくまで脇役ですので主役である主契約には及びません。また、主契約である積立を解約するとすべての特約は消滅します。
- わざわざ保険会社に預けなくてもお金の管理はできますし、きちんとした保険会社との確認を怠ると積立金はゼロ、終身保険はありませんというようなことになりかねません。
- 2のメリットさえ無視した内容ですし、積立金の出し入れには保険会社が定める手数料が必要になります。それなら銀行口座に入れておいた方が良いでしょう。
利率変動型積立終身保険早わかり
- 利率変動型積立終身保険 = アカウント型保険
- 主契約は「積立」で保障はすべて特約まかせ
⇒主契約を解約すると特約保障も消滅 - 主契約である「積立」はほとんど残らない
⇒積立金はほとんど特約に回されている - 終身保険という名のついた定期保険
仕組みが少々複雑な利率変動型積立終身保険でしたが、どのような保険かさえわかっていれば、定期保険と割り切って活用することもできるかもしれません。
しかし、「終身保険」とつくことから大きな誤解を生む保険であることも事実です。もし、アカウント型である利率変動型積立終身保険に加入されているのであれば、どのような内容になっているのか見直すことをおすすめします。