終身保険の解約返戻金が少ないと思ったことはありませんか?
- 3000万円の保険だったのに解約返戻金がたったこれだけ?
- 貯蓄型の生命保険と言われて加入したのに返戻金が元本にくらべて低すぎる
- 当初説明を受けたときよりも解約返戻金が少ない気がする
大きな保険料を貯蓄型だと思って契約したのに返戻金が少なかったら、がっかりしますよね。
「終身保険」と名がついても掛け捨て部分がある保険があります。代表的な例として、
- 定期付終身保険
- アカウント型保険(利率変動型積立終身保険)
どちらの保険にも言えますが、大きな保障のほとんどは特約でまかなわれ、掛け捨てになっていることがほとんどです。
気を付けておかないと、元本と解約返戻金(元本>解約返戻金)の差が大きくなったり、解約返戻金そのものがないということになりかねません。
加入前、加入後でも両者の仕組みを知れば、どのようなときに活用すべきか、どのように運用すべきかがわかり、解約返戻金で損したなんてことも防げるかもしれません。
定期付終身保険で気を付けなければならないこと
定期付終身保険は、終身保険と比べて保険料を抑えながら重要な期間の保障を厚く、老後の末永い保障を実現できる効率の良い保険と言えます。
しかし、定期付終身保険という名称であることから勘違いやトラブルのある保険でもあります。
解約返戻金があるのは主契約のみ
解約返戻金があるのは、主契約である終身保険のみとなり、定期保険特約に解約返戻金はありません。
つまり、2,500万円(定期特約)/500万円(終身保険)であれば、解約返戻金に関係してくるのは、500万円(終身保険)に支払った保険料分のみということになります。
この例では、死亡保障の総額が3,000万円となりますので、解約返戻金も大きくなるように感じますが、定期特約である2,500万円は定期保険であり掛け捨てとなりますので、注意が必要です。
高額保障は主契約の払込期間終了まで
高額保障を実現している定期保険特約の保障は、終身保険の払込満了とともに消滅することがほとんどです。
「3,000万円の保障があると思っていたら、特約の保険期間が過ぎており、保障を受け取れたのは500万円だけだった」というようなことがないように、定期保険特約の保険期間にも注意しましょう。
特に、60歳や65歳といった病気やケガのリスクが高くなるころに払込満了となり、あてにしていた保障を受けられないというようなことがならないよう気を付けましょう。
特約部分と主契約の割合
ここまでで、定期保険特約に保険料を安く抑えながらより高額な保障を受けられることがわかったと思います。
裏を返せば、より保険料が安く、より高額な保障を受けられる定期付終身保険では、定期特約部分と主契約の割合に問題がでてきます。
死亡保障:5,000万円の定期付終身保険に格安の保険料で加入できたとします。
しかし保険料が安いということは、定期特約の割合が高いことが予想され、よくよく確認してみると4,800万円(定期特約)/200万円(終身保険)だったなんてこともありえます
これでは、4,800万円分の保険料は掛け捨てとなり、解約返戻金もないということになります。
格安の定期付終身保険を勧められた場合は、死亡保障の総額や保険料だけでなく、特約と主契約の割合を確認することを強くおすすめします。
定期付終身保険を解約したいと思ったときには払済保険にする
解約返戻金を一時払い保険料として、それまで加入していた保険よりも保険金額を少なくした同種の保険に切り替えることができます。
また、払済保険にすることで特約はなくなるので、定期部分だけを解約するということにもなります。
一番のメリットは、そのまま解約してしまうと少ない解約返戻金となりますが、払済保険にすることで、保険金は少なくなることもありますが、以後の保険料を支払わずに終身部分だけを持っておくことができるので、長く持っておくことで、解約返戻金が保険金額に近づいていきます。
つまり、解約返戻金が増えていくことになります。
特約任せの利率変動型積立終身保険
利率変動型積立終身保険は、積立利率変動型終身保険ととても名称の似た保険ですがまったくの別物です。別名の「アカウント型保険」と言った方がなじみがあるかもしれません。
積立終身保険は、積立期間(保険料払込期間)に保障は一切なく、積立期間終了後に積立金を終身保険に変更する保険です。この積立金が利率によって変動する保険を利率変動型積立終身保険と呼びます。
積立期間は特約保障でカバー
本来、利率変動型積立終身保険だけでは、積立(保険料払込)期間中の保障がありませんが、保険期間を第一保険期間、第二保険期間のように分け、第一保険期間中は主契約である終身保険の積立金および定期保険特約などの保険料を払い込み、第一保険期間の積立金をつかって第二保険期間である終身保険に移行するといった組み合わせの保険のことを、特約部分を省略して利率変動型積立終身保険と呼んでいます。
終身保険の保障額は払込期間が終了するまでわからない
積立終身保険での月々の積立金は保障金額によって異なります。裏を返せば、積み立てた金額に保障金額が変わるとも言えますが、利率変動型積立終身保険は、積立金が積立利率によって変動するため、終身保険に移行する保険料払込期間満了まで保障額が確定することはありません。また、積立金は特約部分の保障見直しにも左右されることがあります。
アカウント型保険と言われる由縁
アカウントとは、一般的に何かを「使用する権利」のことを指しますが、保険では、あなた専用の口座を準備し使用することができると捉えることができます。
アカウント型保険に加入すると保険会社にあなた専用の口座が準備され、そこにお金を預け入れる形になります。
保険会社は、預けられたお金から特約部分の保険料徴収を払込期間満了まで繰り返し、余った分が最終的な積立金となります。
また、アカウント型保険での解約返戻金は、この積立金が解約時に戻ってくると考えておけば間違いありません。
自分のアカウント(保険専用口座)に預けて積み立てたお金も保険料として使用することができるため、積立金額によっては、月々に預けいれるお金を調整することもできます。
終身保険はないも同然
アカウント型と呼ばれる理由は上記で述べた通りですが、実際に積立てられている金額は1,000円/月前後となっていることがほとんどです。1,000円/月の積み立てでは、30年間積み立てたとしても
1,000円 × 12ヶ月 × 30年 = 36万円
と終身保険というには、あまりにも微々たるものとなります。ましてや36万円で移行できる終身保険が準備されているのかもわからない。
また、特約部分の月々の保険料(預け入れる金額)を安くみせるために、更新のたびに積立金を積み立てては取り崩しといったことが繰り返される形となり、最終的に積立金そのものがほとんどないといったこともありえます。
保険の設計書等にも小さく積立額や取り崩し額といった記載がありますので、一度確認してみることをおすすめします。
まとめ
【まとめ】「本文を簡単にまとめると」※
終身保険と名がついても色々な仕組みがある保険があり、消費者からするとわかりずらい部分も多々あることがあります。
とくに、
- 定期付終身保険
- アカウント型保険(利率変動型積立終身保険)
に加入されている場合は、一度、定期部分と終身部分の割合がどのようになっているのか、アカウント型の保険であれば、どのくらい積み立てられているのか確認してみては、いかがでしょうか。