満期保険金や解約返戻金を受け取る場合に保険料の負担者と受取人が同じであれば、一時所得となり所得税や住民税の課税対象となります。
ただし、一時払養老保険を解約して受け取る解約返戻金については、源泉分離課税として課税されることがあります。
保険金や解約返戻金を保険料負担者が受け取ると一時所得となる
満期保険金や解約返戻金では、保険料負担者が受取人となることはよくあることですが、負担した保険料よりも受け取った額の方が大きい場合には、その差額が一時所得となり、所得の大きさに応じて所得税や住民税が課税されることになります。
保険料負担者 | 被保険者 | 受取人 | 課税 |
---|---|---|---|
夫 | 夫 | 夫 | 夫に所得税と住民税 |
夫 | 妻 | 夫 | 夫に所得税と住民税 |
一時所得となる場合は、次の式で課税対象となる一時所得金額を計算することができます。
一時所得金額 = 受取額 - 支払保険料 - 特別控除額(50万円)
もし、保険金や返戻金のほかに収入がある場合には、上記の式の結果をさらに1/2した額が課税対象の額となります。
メモ
900万円の保険料を支払い1,000万円の満期保険金を受け取った場合の課税対象額は次のようになります。
課税対象額 =(1,000万円 - 900万円 - 50万円)× 1/2 = 25万円
また、実際にはこの金額を給与所得等と合算して所得税や住民税の計算を行うことになりますが、一時所得だけで税率をかけると
所得税 = 25万円 × 5% =12,500円
住民税 = 25万円 × 10% = 25,000円(税率は都道府県により異なります。均等割は含めていません。)
となり、合計で37,500円となります。本来は給与所得など他の所得と合算して計算するため、本来の額と異なる場合があります。
一時払養老保険の解約返戻金は源泉分離課税
一時払養老保険の解約返戻金については、次の条件にすべて当てはまるとき一時所得としての課税ではなく源泉分離課税として課税されることになります。
- 保険料総額の1/2を保険期間の最初の1年の間に支払い、保険料総額の3/4以上を2年以内に支払う場合を含む一時払養老保険である
- 5年以内に解約して解約返戻金を受け取る
上記の条件に当てはまるときは次の式で算出される額が源泉徴収されることになりますので改めて確定申告による納付の必要はありません。
源泉徴収額 =(解約返戻金 - 支払った保険料)× 20.315%
保険に関する所得税・住民税早わかり
- 保険料負担者=受取人の場合は一時所得して所得税や住民税が課税される
- 支払った保険料+50万円が控除された額が一時所得となる
- 一時払養老保険の解約返戻金は場合によって源泉徴収となる
満期保険金や解約返戻金にも税金がかかることに驚いた方もいるかもしれませんが、「支払った保険料+50万円」との差額になるため、実際に課税されることは多くはないかもしれません。もし、満期保険金や解約返戻金を受け取っているのであれば、簡単な計算ですので一度計算してみましょう。