「満期保険金を受け取るとき、契約者と受取人が同一の場合には一時所得として課税の対象になり確定申告が必要だと思いますが、保険金を受け取る際、すでに課税分を引かれていました。確定申告はしなくてもいいんですか?」
- 確定申告をしなかったら、税務署から連絡がきたりしないのか
- 余計に税金を払うことにならないのか
- 受取り額からすると、課税されないはずなのに
せっかく、保険料を支払い続けてやっと満期保険金を受け取ったものの、確定申告のことも考えなければなりません。
会社員であれば、確定申告をする機会というのはあまりないと思いますが、保険金を受け取るにあたり、確定申告のことを考えていたら、すでに課税分を引かれている。「あれ?確定申告はどうなるの?」とちょっと不安ですよね。
ですが、満期保険金を受け取る際に課税分が引かれている場合は、確定申告の必要はありませんから、ご安心ください。
なぜなら、保険料を一時払いとすることで、金融類似商品として位置づけられ利子所得として課税される保険があるからです。
どのような保険が金融類似商品となるのか、また金融類似商品での課税についてもみてみましょう。
金融類似商品は総合課税ではなく分離課税の対象となる
金融類似商品とは、税法上は利子所得以外に分類されているものの、実質的には利子所得とみなせるような商品のことを指します。
利子所得とみなされた場合、源泉分離課税の対象となり、受け取る際に保険会社にて税金分を差し引いて支払われるため、確定申告の必要はありません。
ちなみに課税される額(差し引かれる額)は、保険金額と払込保険料の差額に対して20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)をかけた額となります。
確定申告の必要がないため、「なんだ、楽だな。」と思われるかもしれませんが、総合課税とは異なり特別控除はありませんので、注意してください。
金融類似商品に該当する保険とは
一時払養老保険、一時払変額保険(有期型)などで5年以内に満期保険金や、解約返戻金を受け取るような場合に金融類似商品として扱われます。
具体的な要件として次のように定められています。
金融類似商品の要件
次の3要件をすべて満たす場合「金融類似商品」となります。
- 保険期間
5年以下(保険期間が5年を超える契約で契約日から5年以内に解約されたものを含む)- 払込方法
一時払または(ア)、(イ)のいずれかに該当するもの
(ア)契約日から1年以内に保険料総額の50%以上を払い込む方法
(イ)契約日から2年以内に保険料総額の75%以上を払い込む方法- 保障倍率
次の(ア)、(イ)のいずれにも該当するもの
(ア)次の金額の合計額が満期保険金額の5倍未満
・災害死亡保険金
・疾病または傷害による入院・通院給付日額に支払限度日数を乗じて計算した金額
(イ)普通死亡保険金額が満期保険金額の1倍以下引用元:生命保険文化センター-税金に関するQ&A
金融類似商品早わかり
- 金融類似商品となる保険には一時払養老保険、一時払変額保険(有期型)などがある
- 金融類似商品は源泉分離課税の対象となり確定申告の必要はない
金融類似商品といわれると金融?類似?と構えてしまいますが、該当する要件と税制についてさえ知っていれば、なんてことはありません。
また、満期保険金や解約返戻金を受け取った際も、すでに税金を支払った状態となっていますので、あまり深く考える必要性はありません。
ただし、節税という観点では少し違ってきます。すでに契約してしまっていたり、返戻金を受け取ってしまっていたら仕方のないことですが、契約前や解約前に一度、税制の仕組みをみてどのくらい課税されるのかという点についても考慮してみてはいかがでしょうか。