保険を契約するときには、自分の目的に合っているのか、保険料を余裕をもって支払えるかなど悩みますが、保険を解約する場合にも案外悩むものです。
- ずっと掛けているのに給付を受けるような入院や怪我がない
- お金に困って保険料がもったいなくなった
- 新しい保険への加入を考えている
- 解約したとたんに何かおきるかも
など、実際に保険を契約してみたものの、あまり保険が役になってないなと思ったり、保険料の負担が大変と感じることもあると思います。
そんなときに浮かぶのが「保険の解約」です。
保険の解約は、保険契約者の申し出によって、申し出以降の保険契約をなくすことです。
解約することによって、保険料の負担はなくなりますし、解約返戻金がある場合には、返戻率に応じて解約するまでに支払った保険料の一部が戻ってくることになりますが、もちろん、その後の保障を受けることはできなくなります。
「やっぱり、そのまま契約しておけばよかった」と後から思っても取り戻すことはできません。
保険の解約自体は、解約を行う保険証券、契約者本人の身分証明書などが必要になりますが、保険会社のHPから解約書類の請求したり、保険会社に直接連絡し書類の送付を請求し、所定の手続きを行うなど、簡単なことです。(中には、担当者の思わぬ妨害に合ってしまい難しい場合もありますが)
しかし、解約してしまうと同じ条件で再加入することができませんので、解約前に本当に解約しても大丈夫か考える必要があります。
保険の解約を考えるのには、新しく条件の良い保険への加入を考えたときや保険料の負担がきつく家計が苦しいあるいは、保険そのものが不要になったなどの理由が挙げられると思います。
それぞれ解約前にどのようなことを考えればいいのか整理してみましょう。
新しい保険に加入し直すときは古い保険の解約前に行う
新しい保険に加入するときには、すでに加入している保険と保険会社が同じであっても必ず告知が必要になります。
必ず新しい保険に加入できるとは限りませんし、年齢によっては、新しい保険の方の保険料がとても高くなることもあります。
また、新しい保険に加入できたとしても加入前にはわからなかったデメリットも出てくるかもしれません。
古い保険の解約前に新しい保険へ加入できることや新しい保険に致命的なデメリットがないことをきちんと確認することをおすすめします。
家計が苦しい場合は保険料の負担を小さくする
家計が苦しいのに保険に加入したり継続することは、あまりお勧めできることではありませんが、どうしても将来の不安がありできれば解約はしたくないという場合もあるかもしれません。
そのような場合には、次のような制度で以後の保険料を少なくできたり、支払をストップできる場合がありますので、一度保険会社へ相談されてみてはいかがでしょうか。
自動振替貸付
現在加入している保険の解約返戻金が未払い保険料とその利息分よりも多い場合に自動的に保険会社が保険料の貸付を行う制度です。
つまり、一定条件下であれば、保険会社が保険料を立て替えてくれるということになりますが、もちろん立て替えてもらった保険料には利息がつきますので、注意が必要です。
契約転換
現在加入している保険を下取りにして、新しい保険に切り替えることを契約転換といいます。
転換と聞くとイメージが良くないと思われる方もいるかも知れませが、保険外交員に勧められるがまま転換を行うのではなく、「保険料を減らしながら、目的に合った保険を選ぶ」といった目的が明確であり、きちんと保険を選べる環境にあれば問題ではありません。
払済保険
解約返戻金を一時払い保険料として、それまで加入していた保険よりも保険金額を少なくした同種の保険に切り替えることができます。ただし、特約はなくなります。
延長保険
払済保険と少し似ていますが、延長保険は解約返戻金を一時払い保険料として、それまで加入していた保険と同額の保険金を得られる定期保険に切り替えることができます。ただし、特約はなくなります。
保険金の減額
保険金額を小さくすることで、保険料の負担を小さくすることができます。また、主契約だけではなく一部解除ということで特約部分のみを解除することで保険料の負担を小さくすることもできます。
予定利率が高い保険は払済保険へ変更する
終身保険や養老保険のように貯蓄型の保険で、20年以上保険料を支払い続けているような場合は、予定利率の高い保険(お宝保険)である可能性があり、そういった保険は解約すべきではありません。
予定利率が高いということは、保険料が安くなりますので、小さな負担で大きなリターンが期待できる保険であるということです。
中には、予定利率が5%を超えるというお宝保険もあり、支払った保険料の2倍、3倍といった保険金を受け取れるケースもありました。
とは言っても、いつでも大きなリターンを受け取れるわけではありません。
支払った保険料よりも大きな保険金や解約返戻金を受け取れるのは、被保険者が死亡したとき、もしくは終身保険であれば払込満了後以降であったり、養老保険であれば満期を迎え満期保険金を受け取るときといったように限定的になります。
つまり、家計に困っていたとしても、大きなリターンを得るためには保険料を払込満了時まで支払続けないといけないということになります。
将来の大きなリターンも魅力的ではありますが、大切なのは今の生活ですので、保険料の支払いがどうしても家計を圧迫しているのであれば、払済保険にする方法があります。
払済保険にすることで、受け取れる保険金は少なくなりますが、予定利率はそのままに保険料の支払いをストップすることができます。
解約のタイミングを考える
掛け捨て型の保険であれば気にする必要はありませんが、解約返戻金がある場合には解約のタイミングによって返戻金の額が大きく変わります。
保険が不要だとしてもすぐに解約せずに解約返戻金について確認することをおすすめします。
解約返戻金と解約のタイミングについては次の記事を参照ください。
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解約返戻金とは?仕組みを知れば解約タイミングが見えてくる
解約返戻金(かいやくへんれいきん)とは、保険を解約したときに戻ってくるお金のことをいいます。 解約返戻金は、保険料として支払った額が必ず全額戻ってくるわけではありません。解約返戻金の仕組みについてみて ...
解約(保険契約者のによる解除)早わかり
- 解約とは保険契約者による解除のことをいう
- 解約することで解約返戻金を受け取れる場合がある
- 解約すると同じ条件の保険に加入することは難しい
- 新しい保険に加入したい場合は古い保険の解約前に加入手続きをおこなう
- 保険料の負担が苦しい場合は解約よりも保険料を減らせる制度を利用する
- 解約のタイミングは慎重に
結婚や子どもの独立などの節目において、保険の解約を考える場合もあるかとも思いますが、一度解約してしまうと二度とまったく同じ条件の保険に加入できなくなります。
万が一のときに現在契約している保険がなくても貯蓄やその他の方法で対応できるのであれば問題ないと思いますが、少しでも保険に頼る必要を感じているのであれば、安易に解約とは考えずに「保険料を抑える」ということを考えてみてはいかがでしょうか。
解約をする前に一度立ち止まって、解約しても問題ないことを確認しましょう。